中川八洋掲示板

世界の現状は、日本の国家安全保障の危機を加速しています。この急迫の時局において、刻々と変遷激しい国内外の事態を冷静に俯瞰できる力を与えてくれる、大容量の真正の知識こそ、いまの日本人に必要なものです。当ブログは、国際政治学者・中川八洋筑波大学名誉教授の個人ブログです。

高笑う金正恩の対韓侵攻“開戦前夜”を形成した米朝会談 ──韓国を完全に見捨てたトランプ、安倍晋三を毛嫌いするトランプ

筑波大学名誉教授    中 川 八 洋

 米朝会談は、日本における大方の予想を裏切って、全く逆方向のベクトルに事態を悪化せしめた。北朝鮮の非核化は実態的に棚上げとなったからだ。北朝鮮は今まで通り、ノドンはむろん、核兵器弾道ミサイル化学兵器も保持し続ける。いや強化していく。トランプはそれを認めた。北朝鮮への制裁は、事実上、無力化された。安倍晋三の“十八番”「最大限の圧力」など、遠い昔話になった。

 それどころか、米韓同盟は、完全にひび割れてしまい崩壊寸前に至っている。日米関係はぎくしゃくして、その再建と現状維持が精一杯というところ。拉致問題は一瞬にして“被害者の帰還は完全絶望”となり永久未解決が定まった。

(備考) お気の毒にも、溺れる大海で藁を掴んでいる横田早紀江さんや飯塚茂雄さんに6・12空手形を期待させた安倍晋三とは“人間の血が流れていない悪魔”。6・12はこの厳然たる事実を完全証明した。安倍に熱狂する櫻井よし子や日本会議とは“鬼畜”というほかない。自分の人気のためだけに拉致被害者を利用している安倍晋三は、一度として奪還など考えたことはない。奪還するなら無外交・非交渉しか方法はないし、N氏を2013年に外務大臣にしていれば、半年以内に拉致被害者はいとも容易に帰還している。

 なぜ、こうなったか。また、これから朝鮮半島情勢はどうなるのか。東アジア情勢は、波及的に台湾や南シナ海を含め、日本にとって想像を超えるほどの深刻な悪化に転換していく。基本だけだが、以下、これに触れることにしよう。

 閑話休題。国家の存続問題などアホ臭いとせせら笑う、アヒルか豚並みの低級な馬鹿民族に成り下がった日本人に、何を説明しても無駄になることは承知している。実に空しい。が、当該ブログ七~八千人読者のなかに理解できる者が三十人ほどはいるのも間違いなく、気落ちを励まし奮起一発、分析に入るとしよう。

一、「アメリカ・ファースト」花火大会に変貌して、ぶっ飛んだ北朝鮮の非核化問題

 即席のシンガポール劇場で演じられた、6月12日の“世紀の米朝首脳会談ショー”は、主演男優の金正恩の独壇場であった。トランプ米国大統領は、“偉大なご主人様”金正恩にかしずく召使かのような、サンチョ・パンサ的な脇役に転落しており、とても助演男優ですらなかった。

 トランプは、金正恩に、どう見ても幼稚園児並みに扱われていた。トランプは“不動産屋のおっさん”以上ではなく、世界秩序リーダーの超大国・米国を率いる大統領の器ではないと、世界に向かって自らの低能力と劣悪資質を暴露するハメになった。トランプの直近の目的、中間選挙の自己PRとしても、今般の会談は裏目に出た。トランプが期待していたノーベル平和賞も泡と消えた。

 6・12でトランプは、金正恩の催眠術にかかったのか、自分の心底に潜む“軍事的アメリカ・ファースト”を表に爆発させることに終始し、北朝鮮の非核化を確定する首脳会談であることすら忘れた。トランプは、2016年大統領選挙の時から“経済的アメリカ・ファースト”を筆頭公約に掲げていたが、同盟国重視/海外展開(forward deployment)の継続については従来通りと思われており、“軍事的アメリカ・ファースト”には走らずそれを自制するだろうと目されていた。

 が、「経済的アメリカ・ファースト(自国経済優先主義、自国雇用優先主義、自国貿易黒字優先の保護貿易主義)と「軍事的アメリカ・ファースト」とが分離している状態の方が不自然で、アメリカ・ファーストイデオロギーにおいて論理的には、双方は不可分のはず。“外交天才”金正恩は、これを見抜き、シンガポールで、トランプの心の奥でブスブス燻っていた「軍事的アメリカ・ファースト(=対外駐留米軍事力の縮小)に火をつけるのに成功し、トランプにそれを花火のごとくぶち上げさせたのである。

(備考)「共産主義者は皆、一流の心理学者」と、1960年代頃に翻訳本で読んだ記憶がある。その通りだった。

 金正恩は、“露・中・鮮三ヶ国軍事同盟”の中では前線属国の独裁者にすぎないが、外交の才は中共習近平を凌ぎ、プーチンのそれに並ぶ。歴史に範を求めても、金正恩の外交の才は、スターリンやブレジネフのロシア独裁者を別とすれば、ナチ・ドイツのヒトラーに優るとも劣らない。

 ヒトラーは、1938年9月末、ミュンヘンで英国首相チェンバレンを騙すのに成功し、英国をして英国の同盟国チェコをドイツに献上させた。ために、第二次世界大戦後の国際政治学界では、ヒトラーの天才的騙し術は学術研究の対象になった。これと同じで、金正恩の騙し術もまた国際政治学上の瞠目すべき新しい事例となった。

 つまり、外交音痴の“スーパーお馬鹿”安倍晋三とは、“天性の外交天才”金正恩に比すれば、おしめを付けている乳児のレベル。ところが、オムツを頭(オツム)に乗せている“超馬鹿”安倍晋三が、金正恩と首脳会談をするというのである。デタラメ外交に興じる安倍の狂気は、度が過ぎている。

 日本国の自殺に繋がること100%の、金正恩との会談に前のめりする、トランプにポイ捨てされた“世紀のお馬鹿”安倍晋三(これからの)“やけくそハチャメチャ外交”を警戒し糾弾しない日本人もまた、自国毀損に興じる“馬鹿以下の狂人集団”と言ってよい。

二、トランプの韓国斬り捨て決断は、文在寅の金正恩と「戦争終結」合意がキッカケ

 6月18日、米国国防総省は、8月の定例米韓合同軍事演習を中止すると発表した。それを受けて米韓両政府は、19日これを追認した。これは、トランプが17日に命じたものでトランプの韓国斬り捨ては、ついにスロットル全開で始動した。しかも、この米韓合同軍事演習の中止は、今般だけに留まることはない。北朝鮮と対話している間は、一貫して中止するとしている。『朝日新聞』6月20日付け。

 トランプの韓国斬り捨て路線、もっと正確に言えば、韓国を北朝鮮に献上するor北朝鮮が韓国をどうしようと米国は関与しない方針は、もはや確固と定まった不可逆路線と見做さなくてはならない。このことは、6月12日のシンガポール会談後の記者会見で、「米韓合同演習は費用が高額な上に、挑発的だ」と、トランプが述べたことからもわかる。

 しかも、このことを、トランプは会談中に金正恩にも発言している。『朝日新聞』6月14日付け。要は、米韓合同軍事演習の中止は、当然に、在韓米軍の駐留を止める方向、すなわち順次撤兵させていく慣性力を持つ。これから現実には、そうなっていくだろう。

 トランプが韓国斬り捨てを決断したのは、2018年4月27日。この日、板門店南北朝鮮の“赤い北朝鮮人”首脳同士がハグし合って、“北朝鮮への韓国の併合・消滅”を意味する「朝鮮戦争終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換する板門店宣言に署名した。『朝日新聞』4月28日付け。

 「朝鮮戦争終戦」とは、対北朝鮮“韓国防衛”は不要になったと見做す、の謂いだから、在韓米軍の軍事力は不要になったということである。これ以外の意味はない。明白に過ぎよう。激情屋トランプは、この時、トサカが真赤になるほどムカついた感情に襲われ、二つのことを思いついたようだ。

 第一は、「この野郎、文在寅め! だったら、米国はもう韓国を守ることはしない。米国の若者を韓国のために死なせることはもうしない」の怒りである。トランプの「文在寅の顔は見たくない/話もしたくない」が、4月27日の板門店宣言で一気に形成されたのである。

 現にトランプは、5月22日、ワシントンにやってきた文在寅に対して、その首脳会談の最中、36分間もマスメディアとのインタヴューに応じて、前代未聞の公然侮辱を演出した。文在寅は、5・22米韓首脳会談で、結局、トランプに五分間しか喋っていない。これが往復28時間かけてワシントンまで来た一国の元首に対する対応としてマナー的にも許されるものでないのは言うまでもないこと。が、感情過多で下品な育ちのトランプらしい、板門店宣言への報復としては痛快限りない。この侮辱の原因と責任は文在寅の自業自得。文在寅に、トランプの非礼・無礼を責める資格はない。

 このように、4・27以降の米韓関係は今や敵対関係になっている。トランプは、文在寅と韓国を斬り捨てた代替として、金正恩朝鮮半島のパートナーに選んだのである。だが、日本のマスメディアは、このことを十分に知っているのに、米韓関係の恐ろしいほどの冷え込みを報道しない。

 第二にトランプは、文在寅の「在韓米軍なんかいらない」に便乗して、自分の本心「在外米国軍隊の前方展開のコストを削減し、またアメリカの若者の命を同盟国防衛のために犠牲にしないで済むアメリカ・ファースト路線に転換する」をぶち上げる好機にできるぞと、“軍事的アメリカ・ファースト”宣言を出す場に米朝首脳会談を利用しようと決断したようだ。

 文在寅が“金正恩の犬”となった4月27日、トランプは米国大統領として、1969年7月のニクソンのグアム・ドクトリンと同じ、「アジアからの退却・撤兵」「アジアの平和は、アジア諸国自身で維持されたい」を、米国の対アジア政策の基軸にすると決めたことになる。

(備考) 文在寅に対して「顔も見たくない/話もしたくない」トランプは、安倍晋三に対しても五十歩百歩。「もう、うんざり!俺は三歳の幼児にしがみつかれる趣味はない!」が、現在のトランプの、安倍への率直な感情。

 確かに安倍晋三とは、「日本が必要なのに米国製武器を買わない」「日米貿易不均衡への対処もいっさいしない」「しかし、米国の外交ではない、純粋に日本政府の専管責任の“拉致被害者奪還”を、幼児の母親依存症《ママ、お願い》丸出しで、二度も米国にやってきて押し付ける非常識男」。ここらが安倍との緊密関係を終わらせる潮時だなと、トランプは決めたようだ。

三、グアム・ドクトリン以降のアジアが再現する“新・東アジア”で、日本国の生存は?

 ニクソン外交について、少しばかり振り返っておこう。東アジアを悲劇に落とし込んだニクソン外交の愚行を、今、トランプは酷似的に繰り返そうとしているからだ。ニクソン(米国は軍事的に守ってあげないという)アジア軍事放棄主義が、1975年4月の南ベトナム全土が北ベトナムに侵略占領されて南ベトナムが地球上から消滅してしまった事態に繋がったのを否定する歴史家はいない。南ベトナムの運命を繰り返さんとしている南朝鮮(韓国)の狂気外交を間近に目撃する我々は、もう一度、この歴史を記憶に呼び戻さねばならない。

 特に、米国のニクソン大統領が中共に飛んで、初めて毛沢東と首脳会談をした1972年2月、世界はアジアに平和が戻ってくるとはしゃいで、事の成り行きを非現実に夢想した。が、それから三年後の1975年4月30日、南ベトナムは急襲する北ベトナムの侵略軍に全土を奪われた。この間の1973年1月には、南北ベトナムと米国と南ベトナム内の反政府政権北ベトナムの侵略支配地域)の四者は、パリで和平協定に調印した。これを主導したキッシンジャーノーベル平和賞を受賞した。そして、これを境に米国は南ベトナム駐留米軍を事実上ゼロにした。キッシンジャー北ベトナムとつるんで、北に南を容易に併呑できる枠組みを構築してあげたのである。

 トランプ政権には、キッシンジャーのような北朝鮮側スパイはいないが、文在寅という北朝鮮スパイが韓国の大統領であることにおいて、基本構造はほとんど同じである。この意味で、トランプは、まさしくニクソンの愚行を踏襲している。南ベトナム共産国への併呑から四年半後の1979年12月、ソ連アフガニスタンに侵攻した。

 韓国が文在寅の手引きで北朝鮮に併呑された直後には、北海道にロシアが、尖閣石垣島には中共が侵攻するが、このことは、南ベトナムの消滅がアフガニスタンへのソ連軍侵略に一直線に繋がっている歴史に学べば納得できること。“何でもかんでもアメリカ・ファーストでいこう”のトランプ大迷走外交は、惰弱なニクソンの戦争恐怖症の二の舞である。

表1;1969年以降のアジアより数十倍もきな臭い、6・12以降の東アジア

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 尚、ニクソンについて逆さに記述したロシア工作員の本がある。気を付けよう。田久保忠衛の『戦略家ニクソン中公新書である。ロスケ田久保は、ロシアに徹頭徹尾に騙されたニクソンを“理想の米国大統領”に仕立てあげるべく、真赤な嘘ばかりで飾り立てたニクソン虚像をデッチ上げた。『戦略家ニクソン』は悪書の中の悪書である。

四、露・中・北鮮が牛耳る東亜で日本が独立を維持するなら、国防力三倍増が絶対

 トランプの文在寅への感情的報復を原点とする、トランプの金正恩接近の愚は、ソ連工作員共産主義シンパのアチソン国務長官の1950年1月演説をも髣髴とさせる。これは、「米国は、アリューシャン列島から日本、沖縄、フィリッピンに至るラインは、断固として防衛する」という“不後退防衛線”を演説したもの。が、これは、言外に「韓国と台湾は防衛しない」というメッセージであった。

 スターリンはアチソン演説を聞いて、北朝鮮金日成をして直ちに韓国に侵攻させた。1950年6月であった。これが朝鮮戦争の起源である。たまたまマッカーサー元帥が東京にまだいたお蔭で、迅速かつ優れた仁川上陸が敢行され、韓国の北朝鮮併合が免れたに過ぎない。台湾も、アチソン演説からかなり経ってはいたが、1958年に毛沢東の侵略が始まり、金門島馬祖島が砲弾の猛攻撃に晒された。が、蒋介石や根本博によって、良く守り抜くことができた。

 米国は、ニクソンやカーターやトランプなど、軍事的アジア放棄論者が大統領になる時がサイクル的に巡ってくる。この場合に愚痴るのは、主権国家であるのだから、日本人として恥ずかしいことだ。フィンランドのマンネルヘイム元帥に倣い、単独で戦い抜こうではないか。

 1938年9月末、チェンバレン英国首相は、ヒトラーの真赤な嘘──「これ以上の領土要求はしない」「これ以降は、ドイツ外交は平和一路になる」など──を信じて、同盟国チェコの領土ズデーテン地方(天然の要塞)をドイツに割譲することにした。チェコはこれを断固として拒絶して単独でヒトラーと戦うべきであった。

 チャーチルは、ズデーテン地方の山岳で守られているので、当時のチェコの軍事力だけで、1938年秋にチェコに投入できたドイツの主力兵力の四ヶ戦車師団など軽く排撃できたのにと切歯している。チャーチル『第二次大戦回顧録』。しかも、戦後のニュルンベルグ裁判で、この時チェコへの侵攻態勢にあったドイツの戦車軍団司令官は、ヒトラーチェコ侵攻命令があればチェコに向かわずベルリンに侵攻してヒトラー暗殺をする予定だったと証言している。

 日本は、ミュンヘン会談における同盟国ポイ捨て、および、切り捨てられたチェコの戦わない愚行の歴史から、北朝鮮の化学弾頭/核弾頭ノドン・ミサイル侵略に対しては、単独で対処しようではないか。米軍事力は、ロシアと中共の対日侵略時の助っ人である。北朝鮮に対し、日本が単独で戦う精神こそ、日本が主権国家である証であろう。

 当初、トランプは、表1のごとく、北朝鮮から核やミサイルを破壊や米国に移送して完全に無にするかに喧伝した。が、蓋を開けると、いっさい何もしないことが判明した。結果、日本は表1にある対日核/化学攻撃の脅威に、今後はもろに曝されることになった。 

表1;核弾頭・化学弾頭・細菌弾頭・弾道ミサイルの廃棄に関するキーワード

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 表1にある、ノドンやスカッドERなどの弾道ミサイルだけでも完全に迎撃し、また北鮮のミサイル基地やTELを可能な限り多数破壊できる兵器体系を、日本は急ぎ整備しなければならない。社会保障という名で、安倍晋三が熱に浮かれて進める異常な“人類史上あり得ない、超バラマキ福祉”は、日本経済を破壊尽すスーパー財政破綻を含め、日本国の未来を地獄に叩き落す。が、国防力の増強だけは日本をしてその未来を盤石にしてくれる。“超バラマキ福祉の狂人選挙屋安倍晋三に今直ぐ退陣してもらい、国防力を三倍増する日本国民の生命を守る政治家を早急に総理大臣に据えねばならない。

(6月20日記)

 

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