中川八洋掲示板

世界の現状は、日本の国家安全保障の危機を加速しています。この急迫の時局において、刻々と変遷激しい国内外の事態を冷静に俯瞰できる力を与えてくれる、大容量の真正の知識こそ、いまの日本人に必要なものです。当ブログは、国際政治学者・中川八洋筑波大学名誉教授の個人ブログです。

安倍晋三のトンデモ憲法改悪を阻み、国を守った小池百合子の“瓢箪から駒”功績

筑波大学名誉教授   中 川 八 洋

 私は、東京都政の豊洲・築地問題にもオリンピック問題にもほとんど関心がない。が、小池百合子東京都知事に若干の関心と拍手を送ってきたのは、次の二つを期待したからである。

 第一は、“対ロ売国奴”で醜悪なロシア産ゴリラの“非国民”森喜朗の政治生命を剥奪して隠居に追い込んでくれるのではないか。第二は、日本を“国家衰亡と裏腹の超福祉国家”に改造した社会党社会主義者の“有害政治家”田中角栄を「天才」と称賛する“民族系”の“国賊”作家・石原慎太郎豊洲移転検証委員会を通じて偽証で名実ともに抹殺してくれるのではないか。の期待である。

 小池都知事の政治成果は、“非国民ロスケ”森喜朗つぶしでは100点満点で15点。“国賊作家”石原慎太郎つぶしでは100点満点で25点。合計しても100点満点で40点だから、合格ライン60点を越えなかった。このため、小池百合子の政治力はさほどでないな、と多少がっかりしていた。

 だが、さる7月2日の都知事選での小池新党「都民ファースト」の大勝は、意外な形で日本の国益を守ることになった。安倍晋三が安倍ファンの多い日本会議に得意然と約束した(5月3日)憲法を明かに改悪する“憲法改正のためのトンデモ憲法改正”をブッ飛ばしてくれて、日本の国防の根源を擁護するものとなったからだ。

 “口先だけの甘言と嘘つき”が得意技の安倍晋三は、今度もまた、公約「戦後レジームの脱却」をポイ捨てした。岸信介を始め戦後日本が悲願としてきた第二項を削除して国防軍設置に代替する、正しい憲法第九条への正統な改正こそ「戦後レジームの脱却」の代表だが、これをしないと宣言したからだ。

 自衛隊国防軍に昇格させずそのまま据え置く憲法が定めることになる、「憲法第九条第三項として自衛隊を明文化する」との、日本の国防を重大に阻害する憲法改悪の旗幟を振り回す安倍晋三の暴走が開始された途端、小池百合子の“自民党都議団つぶし”のブーメラン効果が、安倍の狂った憲法改悪をぶっ壊した。小池百合子が意図しなかった“瓢箪から駒”の功績。

 この功績で小池百合子には15点を加点せねばなるまい。つまり、小池百合子の政治成果は、合計で55点、あと5点あれば合格の60点である。小池百合子には、国政への復帰など決して考えず、ひたすら都政に集中邁進することを期待したい。

有事の日本の国防も、進む自衛隊劣化も、「俺の知ったことか」が、阿諛に生きる河野克俊の心底

 “チャラ男の選挙屋安倍晋三の、憲法第九条の正しい改正ではなく、“自衛隊国防軍に昇格させずそのまま据え置くと憲法に定める憲法改悪”を、自衛隊のトップまでが支持した事件まで起きていたので、この憲法第九条改悪を阻止した小池百合子の功績は、計り知れないほど意義がある。

 このトンデモ自衛隊トップとは、河野克俊・統幕議長のこと。河野克俊は、安倍のトンデモ憲法改悪提唱から三週間後の5月23日、日本外国特派員協会で、次のように語った。

「一自衛官として申し上げるならば、自衛隊の根拠規定を憲法に明記されるということは非常に有り難い」

 河野克俊とは、「日本の国防などどうなろうと構わない」が本心の、安倍晋三と酷似した腐敗人格のチャラ男。それだけでなく、河野克俊が安倍晋三への阿諛迎合を目的として、安倍に聞こえるよう、自分の言辞が報道される機会を捜してこの発言をしたこともバレバレ。朝日新聞その他の極左マスメディアは、この河野克俊の発言を、憲法が禁じる政治的発言だと糾弾したが、何というお門違いだろうか。  

 自衛官が、自衛隊を我が国の国防の向上により資するために、その職務上の専門知見に基づいて自らの信条や信念を吐露することは、大いに歓迎されるべきことである。現在のように、自衛官が口にチャックしている方が、日本の国防の向上・強化の障害であり、職務放棄はなはだしい。

 つまり、河野克俊・統幕議長の発言は、発言したこと自体には何ら問題がない。が、発言内容は重大な問題を孕んでいる。彼の発言が仮に、「自衛隊をそのまま憲法に明文化することだけは、止めてほしい」「自衛隊国防軍に昇格する明文規定を明記してほしい」「憲法第九条第二項を完全削除して欲しい」だったならば、河野克俊は偉大な統幕議長として、その名を後世に残しただろう。

 だが、人格卑しい河野克俊は乞食のように揉み手しきりに安倍晋三に取り入るべく、安倍晋三のトンデモ憲法改悪の提唱に(反対ではなく、逆さにも)支持すると表明した。河野克俊の本心が、これからの自衛隊がどうなろうと、有事に日本の国防がどうなろうと「俺の知ったことか」なのが滲み出ている。

 憲法第九条に自衛隊をそのまま明文規定化することは、自衛隊が国防上の軍事行動をするに、よりひどく拘束の箍が嵌められることとなり、いったん有事となれば、自衛隊の国防行動をがんじがらめに劣化・低下させる。

 自衛隊憲法第九条とは別の、「確立された国際法規は誠実に遵守する」と定める憲法第九十八条第二項を母胎として生まれた出生を思い起こすべきだ。この生まれにおいて、有事に自衛隊国際法だけに依拠して軍事行動をとることができる

 ところが、自衛隊とは、憲法第九十八条第二項という母親から産まれたのに、それが着ている服は、憲法第九条に基く法律「自衛隊法」というチンドン屋みたいな服。それでも有事に、出生の原点に戻れば、憲法第九条に依拠してそこから編み出された服「自衛隊法」を全面的に脱ぎ捨てることができ、たとえ自衛隊法に違反しても、憲法第九十八条に合致しているから合憲となる。

 だが、憲法第九条第三項に自衛隊が現状のまま規定されれば、自衛隊憲法第九十八条から憲法第九条に養子に出されることだから、第九条に基づいた服「自衛隊法」を脱ぎ捨てることはできない。しかも、自衛隊法に基づいた軍事行動をすれば、平時でも有事でも国は守れないことは(注1)、河野克俊は重々知っている事ではないか。また、自衛隊憲法第九条の養子になれば自衛隊法を無視できないだけでなく、憲法第九条第二項も無視できなくなるではないか。

 憲法第九条第二項は「陸海空軍その他の戦力はこれを有さない。国の交戦権は、これを認めない」と定めており、自衛隊はこんなポツダム宣言武装解除条項と合体して、有事に国家防衛の軍事行動をとれるのか。

 河野克俊は、馬鹿や痴呆でない。ならば河野克俊とは、有事に自衛隊全体を「敵前逃亡」「戦闘放棄」させる事を企んでいることになる。

河野克俊とは逆に、栗栖弘臣/竹田五郎は、失職の代償を厭わず有事の自衛隊の「超法規」を主張

 私には、1980年代、特に親しかった自衛官が四名いた。栗栖弘臣(統幕議長)、竹田五郎(統幕議長)、杉田一次(陸幕長)、阿達憲(化学学校校長)。栗栖/竹田/杉田は旧軍人からの自衛官で、いずれも憲法第九条改正による国防軍設置論者であった。が、栗栖/竹田と杉田とは、優先順位が大きく相違していた。杉田は憲法第九条改正・国防軍設置が筆頭優先だが、栗栖と竹田は対露防衛/北海道防衛が筆頭優先であった。

表1;「保守」系自衛官(←軍人)の優先順位

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 この杉田との相違により、栗栖と竹田が「超法規」発言をすることとなる。なぜなら、国防軍設置への憲法第九条改正など現実的にいつになるかわからない以上、自衛隊は陸海空軍になれない。ならば、有事になれば自衛隊は、自衛隊法をかなぐり捨て無視し、国際法に従って、実態上の「陸海空軍」として、国防上の軍事行動をとるしかないという考えに立っていた。  

 戦後日本における憲法改正案の公開出版は、実は、1984年の『中川八洋憲法草案』(実際のタイトルは、『新・日本国憲法草案』、山手書房が事実上の最初である。しかも、数万部も売れるベストセラーでもあった。中曽根康弘は自分の憲法改正(1961年作成)をもっていたが、その公開は1997年(『正論』1997年7月号)。中曽根憲法改正案は、中曽根自身が強度のスターリン崇拝でコミュニストである証拠でもあったから、中曽根は、その様な事実に対して、何らの驚きも批判もしない劣化日本人の新人類世代の到来を待つことにして、三十六年間も秘匿し続け公開しなかった。  

 ともあれ、憲法第九条改正にこだわった私だが、現実に柔軟である事において、表1が示すように、栗栖や竹田とは心から意気投合した。杉田とは理性的な同志関係以上にはならなかった。  

 栗栖弘臣は、1978年7月、ソ連の対日侵攻時における奇襲に対処できない自衛隊法の欠陥を国民に訴え、自衛隊法無視の「超法規」出動をする旨を宣言した。この時、栗栖は、1960年1月にいったん北方領土全体から全軍が退却していたソ連軍が択捉島に再上陸(1978年5月~7月)したことを金丸信防衛庁長官の意向に反して発表した。北方領土には、ソ連軍は十八年間半、一兵もいなかった。ソ連は日本が奇襲進駐するならば、その形で、北方領土を返還することを決めていた。  

 金丸は、後者の「ソ連択捉島再上陸を、大臣の許可なく発表した」を理由に、栗栖を解任した。マスメディアは何を勘違いしたのか、「超法規=自衛隊法無視」発言で馘首されたと報道した。  

 それから三年後の1981年2月、竹田五郎は栗栖弘臣を踏襲し、①GNP1%枠の撤廃、②北海道防衛のため「超法規」出動、③「徴兵制違憲」というトンデモ政府見解の撤廃、の三点を政府に求め、『月刊宝石』1983年3月号に掲載した。竹田もまた、解任された。この時は、「超法規自衛隊法無視)」の主張をした事が解任理由となった。

自衛隊法を全面改正して国防軍法にしないでも国が守れると大嘘を嘯く“卑しい枕芸者”河野克俊

 河野克俊が、自衛隊法では有事に日本国を守れないとする栗栖弘臣/竹田五郎と、いかに根本的に相違するかが、以上の事だけでも一目瞭然であろう。栗栖も竹田も国家を守る軍人として、その生涯と生命を国に捧げた。が、河野克俊ときたら、平時にあって自衛隊違憲論を言われるのが嫌だ、個人的な感情やプライドが傷つく、との卑俗な低次元問題で「憲法自衛隊を明記せよ」のトンデモ憲法改悪を推進しようとする。   

 実際にも河野克俊は、現行自衛隊法では国家は守れないとか、自衛隊法や現行第九条では自衛隊に優秀な人材が集まらないとか、瑕疵だらけの日本の国防法制度・国防力などの抜本改善を、国民や政府にアッピールしたことがない。例えば、現在の自衛隊法では、平時の領域保全もままならないし、有事においてはほとんど機能しない。あるいは、防衛出動に対して大量に集団で退職願を出されたら、敵前逃亡の銃殺がないのだから、事実上、自衛隊にはいかなる対処もできない。このような深刻な実態を河野克俊は、一度もマスコミに向かって語ったことはない。  

 少なくとも、自衛隊法は現行憲法第九条のもとでも大幅改正は可能である。だが、河野克俊は、自衛隊法を全面改正せよと、記者団に語ったことは一度もない。愛国心ゼロの河野克俊は、退職金も増えるし高額給与の統幕議長を少しでも長く勤める事だけが目的で、安倍晋三のトンデモ憲法改悪に反対せず、媚を売るべく「賛成!」との枕芸者になりきった。軍人になりたいとの願望のない自衛官は、河野克俊のごとく所詮、国家公務員であって、自己犠牲の美徳に生きる軍人とは程遠い。

(7月5日記)

注  

1、現行憲法第九条下でも可能だし、緊急にすべき平時の自衛隊法改正については、中川八洋尖閣防衛戦争論』第三章PHPを参照の事。

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