読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

中川八洋掲示板

世界の現状は、日本の国家安全保障の危機を加速しています。この急迫の時局において、刻々と変遷激しい国内外の事態を冷静に俯瞰できる力を与えてくれる、大容量の真正の知識こそ、いまの日本人に必要なものです。当ブログは、国際政治学者・中川八洋筑波大学名誉教授の個人ブログです。

空母「遼寧」が尖閣・沖縄本島の南を横切ったが、「軽空母四隻を直ちに建造する」と声明しない“反・国防主義”安倍晋三の異常と“死に体”日本

近づく中共の尖閣侵攻占領

筑波大学名誉教授   中 川 八 洋

(本稿は、2016年9月にupした「尖閣を中共に貢ぐ“口先男”安倍晋三の反・国防主義」の続きである)

 昨年12月22日中共の六万㌧空母「遼寧」が、訓練中の大連・旅順港のある渤海湾を出て、二隻の駆逐艦と二隻のフリゲート艦を従え、日本の尖閣諸島の南側をかすめて宮古海峡を通過し(12月25日)、一路、その巨体を南シナ海へと進めた。プーチン安倍晋三の日本に対して赤子の手を捻る容易さで全面的な外交大勝利を手にして「日本の北方領土の主権はロシアにあり」を飲ませた、「プーチンショック」で安倍晋三の頭の中が一杯になった12月16日から僅か六日目の“発進”だった。中共習近平が、プーチンの対日外交大勝利に連動して、中ロ連携の対日威嚇として、空母「遼寧」を繰り出したことは一目瞭然だろう。

 だが、日本では新聞テレビのマスメディアも、安倍総理の官邸も、“靖国神社大好き小母さん”稲田朋美がトップの防衛省も、そして愛国心を売りにしている民族系団体「日本会議」も、この中共空母の軍事脅威に対して、「日本も急ぎ空母建造と海兵隊の創設を!」との声を一言も上げなかった。

 そればかりか、今般の空母「遼寧」の遊弋目的など見え見えで明らかなのに、ことさらにこれを歪曲する偽情報報道ばかりが、日本の新聞テレビを占領していた。例えば朝日新聞は、「トランプ氏への牽制」などと、日本/台湾/フィリッピンへの軍事的脅威問題を(日本の国防には無関係な)米中間の外交問題にすり替える、情報操作・洗脳の報道をなしていた(注1)。

国威高揚が前面の習近平年頭祝辞と、国家不在/妄想経済の戯言ばかりの安倍晋三年頭会見

 しかも、空母「遼寧」の目的については、習近平が年頭祝辞ではっきりと支那国民と世界に向かって宣言している。議論の余地などない。こう述べた(12月31日深夜)

「領土主権や海洋権益は断固として守る。この問題で安倍晋三の日本やトランプの米国など)誰かが難癖をつけてきても、中国人民は決して許さない」。 

 序なので、この習近平の年頭祝辞を、安倍晋三の年頭施政表明(記者会見)と比べてみよう。安倍の言葉には、国家が全く存在しない。いや、日本がどこにも無い。次のように、安倍晋三の言葉には、世界で共産革命進行中のどこか不特定の国なら当てはまる“抽象語の妄言”だけしかない。

「経済最優先、デフレ脱却に向けて金融政策/財政政策/成長戦略の三本の矢をうち続けていく」

「世界地図を俯瞰しながら、積極的な外交を展開していく」「一億総活躍(=一億共同生産という、新しい国造り(=新国家への革命・改造を進める」(1月4日、伊勢神宮、注2)

 「デフレ脱却」など現実にはとうに破綻済み。それを持続すれば日本経済と財政はさらに毀損される。だが、国家不在/日本未來不在の刹那主義者である安倍晋三の頭には、自分の失政隠しでの人気持続だけしかない。抽象語「積極的な外交」が口に出るのも、現実の外交で日本のどの権益やどの国益を守るという具体的プランも信念も全くないからだ。なかんずく安倍は、「一億総活躍」などいう真赤な噓を吐く。安倍晋三の人格には、良心も倫理も不在だとみてよい。

 日本人のうち三千万人は、知力も思考も涸渇して死没に向かっているだけの労働不能で国の借金で年金・医療を食い散らかす“徒食の寄生虫”老人。国民の2500万人は乳幼児や就学児童・学生だから、社会的活躍などできない。約六千万人弱が働いているのが日本。「一億総活躍」など詐欺師しか使えない真赤な嘘の極み。だが、共産党官僚の造語「一億総活躍」に、安倍晋三はいたく感激して共鳴する。安倍が80%共産主義者だからである。

第一節 軍事力強化を断固拒否した安倍晋三治政の四年間で、日本は亡国一直線

 安倍晋三の国防拒絶症は、派手に目立つ外交でこれを糊塗しているから、一見したぐらいでははっきりしない。だが、じっと目を凝らして三見すると、盛んに世界を飛び回る安倍外交が、実は自らの国防拒絶病を隠蔽することが主目的なのがじわりと見えてくる。

日本共産党の「平和主義」を継承する安倍晋三を叱る福田恒存

 安倍流の国防隠蔽外交/国防摩り替え外交のことを、安倍自身は「積極的平和主義」と名付け、自画自賛する。だが、積極的であろうと消極的であろうと、「平和主義」は「平和主義」。日本共産党が戦後一貫して標榜する“トップ革命運動”「反・国防/反・軍事力」の事以外を意味しない。

 すなわち、「平和主義」を標榜する安倍晋三とは、戦後すぐに、日本の共産革命を達成すべく、日本共産党と雑誌『世界』が牽引した清水幾太郎/安倍能成/丸山眞男/久野収など日本の共産主義者が一堂に会した「平和問題談話会」の『講和問題についての声明』(1950年1月、『世界』1950年3月号)の系譜にあると考えなければならない。

 福田恒存は、このような「平和主義」を、次のように論破した。というより、「平和主義=日本共産革命」だと喝破した。確かに、日本における語彙「平和主義」で、共産主義思想や共産革命を秘めていない使用例は一つとして存在しない。

共産主義的平和論だけが、はつきり未来設計(=日本の共産社会化)の自覚をもつてゐるだけです。したがつて私は、平和論は結局未來設計をやつてゐるではないか、が、それをやれば共産主義の立場に立たざるを得なくなるのではないかと問うてゐるのです」(『文藝春秋』1955年6月号、注3、カッコ内中川)

 実際にも、安倍晋三は、尖閣諸島中共に割譲することを決心している。12月16日、「北方領土の主権はロシアにある」と認めて北方領土の対ロ割譲をプーチンに同意したように、“稀代の対ロ売国奴安倍晋三は日本国の国土や領土を守る思想も精神も皆無である。スターリンの命令を忠実に実行したアジア共産革命で、また日本の領土すべてをスターリン朝貢献上する“祖国叛逆の大東亜戦争”を肯定するように、尖閣はおろか沖縄も九州も、隣国の共産大国・中共にくれてやればいいの(畸形の共産主義思想というべき)“究極のアナーキズム”に病んだサイコパス(異常人格)である。  

 だから、安倍晋三は、2012年12月に総理になってからすでに四年も経つが、尖閣諸島を守る防衛をいっさいしない。むしろ逆さで、この自らの反軍イデオロギーを、『美しい国へ』などに露骨に書いては自慢している。なお、尖閣諸島を守るには、次の三つが最小限不可欠だが、安倍晋三は、これ等のいずれも率先して断固拒否して、防衛省自衛隊にさせない。

A 魚釣島の要塞化

B 「ファン・カルロスⅠ世級」軽空母四隻の建造

C 2万人の海兵隊創設  

 安倍晋三の「積極的平和主義」には、安倍の秘めた尖閣対中割譲イデオロギーが潜んでいる。だから、六十年以上昔に「平和論」を批判した福田恒存の卓見は、反・国防主義の安倍晋三に対して、今でもそのまま適用できる。

比・豪・尼・越の安倍四ヶ国歴訪は、「中共南シナ海要塞化への対抗」を演技する日本国民騙し

 以上の基本的な知見をもって、本稿のモチーフである、安倍四ヶ国歴訪外交を分析するとしよう。安倍晋三は、第二次政権の五年目に入った酉年2017年を、“日本国の外交”を喰いもいのにしてきた、“馬鹿げた外遊ごっこ四年間”への反省もなく、再びフィリッピン/オーストラリア/インドネシア/ベトナムへの海外旅行を満喫する体たらくで開始した。

 安倍晋三いわく、これは南シナ海への中共の軍事的海洋進出=中共南シナ海制覇ヘゲモニーへの対処だという。笑止千万も甚だしい。なぜなら実態は、次のごとく、総理がわざわざ出かける必要などないものばかり。

 まず、フィリッピン(1月12日)。目玉は、五年間一兆円の経済協力。これなら、昨2016年10月にドゥテルテ大統領が東京来訪した時に合意できた話。わざわざ今般マニラまで行くほどの内容は一つもなかった。

 しかも、この安倍晋三の「一兆円お土産」に対するドゥテルテ大統領の“お返し”が、誰でも気づいたように、共同記者会見で無味乾燥な「地域の領海の安全を確保するために、法による統治を進めていく努力を続ける」と、短い英文原稿を嫌々ながら棒読みしただけ。どこにも日本が期待した「2016年夏の仲裁裁判所の【判断】の遵守・実行を中共に求める。スカボロー礁を含め、南シナ海上のわが領土に対する中共の侵略的現況を許さないし断固として認めない」という言葉も熱意も無かった。

 実際にも、麻薬撲滅作戦で頭がいっぱいの検察官上がりのフィリッピンのドゥテルテ大統領は、自国の経済発展には関心があるが、自国の領土・領海防衛に全くと言ってよいほど関心がない。安倍晋三の同類で安倍晋三を十倍ひどくした異常な安全保障音痴で国防否定主義者である。

 だから、ドゥテルテ大統領は、フィリッピンにとって重要な自国領土「スカボロー礁」の防衛に事実上いっさいの責任感すらない。「スカボロー礁」には、朝日新聞の現地取材によれば、白い船体の中共「海警」二隻とその配下の青い船体の二隻が遊弋しているが(注4)、ドゥテルテ大統領がこれを実力排除しようとする動きはいっさい見せていない。

 フィリッピンにとって事実上の同盟国でありながら、米海軍の無人潜水機をスリの早業で奪った、2016年12月15日の中共海賊事件に対しても、ドゥテルテ大統領は中共を何一つ非難しなかった。米国は、有事に「スカボロー礁」を守る潜水艦航路を確定するため海底地図作成のデーターをこの無人潜水機で採集していたのに。ドゥテルテ大統領の異常な「反米」主義は、自国の領土・領海に対する、異様で狂った「国防否定」主義と不可分の関係にある。

日本の軽空母/駆逐艦の「スカボロー礁」一周とマニラ湾停泊が、安倍晋三のあるべき対比外交! 

 安倍晋三が、この反国防主義の異常なフイリッピンのドゥテルテ大統領を、南シナ海中共制海阻止denial意識を持つ健全な普通の大統領に改造したいなら、安倍晋三こそ率先して、その範を垂れるのが筋だろう。この範の垂れ方は、一隻の軽空母と二隻の駆逐艦を、安倍晋三が首都マニラに到着する直前、フィリッピン領土の「スカボロー礁」を一周させ四隻の中共「海警」巡視船を威嚇して、そのあとマニラ湾に親善訪問で入港停泊すべきではなかったか。そして、この海上自衛隊の軽空母/駆逐艦の入港停泊と同時に、安倍晋三政府専用機がマニラ空港に着陸する演出をすべきであったろう。対中共牽制には、このような軍事的パフォーマンスを欠くことはできない。  

 だが、日本には、正式空母はもとより軽空母すらない。安倍晋三は、2012年12月の総理就任から四年以上が経つが、今なお、軽空母四隻の建造を国民に訴えることはない。仮に、2012年12月にそう宣言して、2013年度予算で2013年4月にスペインに発注し、日本企業も協力して全速で建造すれば、一番艦は2016年中に海上自衛隊に納入されていた。むろん、F-35BライトニングⅡの搭載は間に合わないし、代替で中古のAV-8BハリアーⅡを搭載できても海自のパイロットはまだ訓練中で着艦能力がない。が、日の丸を付けたハリアーⅡを10機ほどでも甲板に並べて見せれば、東南アジア諸国に南シナ海防衛が日本の本気の意思であることが伝わり、日本への信頼度credibilityは一気に向上する。

 東南アジア諸国が、安倍晋三or日本を信頼しないで、あくまでも習近平の顔色を最優先的にうかがうのは、日本が最低限の海軍力もない、余りに矮小な軍事力しかないことへの心配が原因である。古今東西、軍事弱体国なのに大国ぶる妄想国家側につく、馬鹿な小国など存在しない。有事に日本が東南アジア諸国に助っ人に繰り出してこないことは、見え見えではないか。

 軽空母もない/原子力潜水艦もない日本と、それ以下の東南アジア諸国との間に、友好国間/非・敵対国間において生まれる、双方がそれなりに強力な軍事力をもった場合のみに発生する(プラスとマイナスの磁石の引き付け合う磁力に似た)“カップリング効果”など期待できない。自明な話。

豪州との軍事同盟条約締結に向けての第一歩を踏み出すべき日本。だが、安倍は踏み出さない。

 次に、安倍がなした、1月14日の豪州でのターンブル首相との会談は、全くナンセンスだった。両首相は、駐豪の日本大使と駐日の豪大使がACSA(弾薬等の軍事物品役務相互提供)協定改定に署名するのを見守っただけ。何とも馬鹿馬鹿しい訪豪であった。南シナ海中共制覇阻止が、安倍晋三の今般の訪豪目的であるならば、海自の潜水艦部隊とオーストラリア潜水艦部隊との共同演習の協定締結など、喫緊の課題が山積しているはず。が、反・国防主義の安倍晋三には、この種の真っ当な方向での発想はできないし、むしろ忌避する。このような日豪海軍の緊密な連携alignmentの第一歩を2013年に創っていれば、豪州はフランス製ではなく日本製の潜水艦を輸入したはずだ。  

 また、両首相は、日米豪の軍事的な連携の強化を同意したとするが、意味が解らない。このためには、日豪が日米安保条約と同じ同盟alliance 条約を締結する方向が合意されていなくてはならないが、安倍晋三の頭には日豪同盟などひとかけらもない。なお、安倍の集団的自衛権の解釈変更は、筆頭に、この日豪同盟条約締結がアジェンダにあってしかるべきだが、安倍が集団的自衛権の解釈変更をしたのは、祖父・岸信介との約束履行(遺言執行)であって、日本の国防や東アジアの海洋安全保障が念頭にあってのことではない。  

 豪州の次にインドネシア(尼)を安倍は訪問したが(1月15日)、これには心底、唖然とした。南シナ海の海洋安全保障問題は何一つ議論されなかったからだ。実際には、中共が領有の意図も関心も寄せないナトゥナ諸島を開発する経済協力だけだった。豪州と日本の間を分断するようにはさまるインドネシアは、日豪海軍同盟条約ができれば、その準加盟国になる可能性がある。日本の対インドネシア外交は、この日豪同盟の枠内で思考されるべきで、この時、インドネシアの戦略的価値が発揮される。

ベトナムには、巡視船六隻ではなく、軽度の強襲上陸能力を持つ「改造おおすみ」級二隻の供与だ

 安倍の四ヶ国訪問の最後はベトナム(1月16日)。ここで初めて安倍の表向きの目的「南シナ海海洋安全保障」が、ほんの少しだけ顔を覗かせた。なぜなら、安倍は、ベトナムに六隻の新造巡視船の建造費用を供与することを約束したからだ。だが、巡視船はおかしい。マンガチックも甚だしい。

 なぜなら、西沙海域でも南沙海域でも、中共の侵略に対する防衛戦争すべてに敗北してきた連戦連敗のべトナムをして、中共に対抗させるには、上陸作戦のできる軍艦なしには不可能ではないか。麻薬運搬船や密漁船を取り締まる警察船舶である巡視船に、中共に対する軍事的戦闘能力など、いっさいない。

 日本が建造費の借款供与をするならば、それは高速化した戦闘能力向上型の(備考)、二隻の新造「おおすみ級」──基準排水量8千9百㌧の上陸作戦輸送艦LST──だろう。これなら、総額1200億円の借款は十分で、お釣りが出る。インフラ整備関連は、このお釣りでやればいい。

 尚、安倍晋三ベトナムに約束した1200億円の借款のうち、巡視船六隻分は385億円で、残りは農業用水や下水道整備などのインフラ部門である。

(備考)三隻の戦車揚陸LCAC用のウェル・ドッグを持つ海自保有の「おおすみ」級三隻の兵装は、第二次世界大戦期のLST感覚で、20㍉機関砲が二門しかない。スペースが十分にあるから、搭載ヘリコプターの機数を減らして、対艦ミサイル/対空ミサイル/対潜ロケットなどの兵装を追加する改造をすべきである。つまり、現在の純LST(landing ship tank)から、軽度の強襲上陸作戦の能力を持つ新型輸送艦に改造するのである。なお、現在の最大速22ノットも、27ノットに向上させる。

 現在は、中共が空母を保有していなかった2000年前後ではなく、「遼寧」就役の2012年以降であるのに、時代錯誤な安倍晋三は、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島において次から次に中共の領有と要塞化が進んでいる現実が、思考の範囲に入らない。共産党系の反・国防主義を父親・晋太郎からどっぷりと洗脳された上に、IQが水準以下であるため、安倍晋三には現実直視が不可能である。だから、空論と幻想を連鎖させた“お馬鹿思考”に遊ぶ安倍晋三は、知能が三歳の童子並みだから、巡視船でも空母「遼寧」に対抗できるとか、巡視船でもスプラトリーの諸礁の滑走路を破壊できると妄想するのである。こうなると、安倍は狂人と何ら変る所がない。

表1;南沙諸島の要塞化を進める中共の海洋覇権を放置する安倍晋三

f:id:nakagawayatsuhiro:20170120143713p:plain

「トランプ大統領に南シナ海防衛をコミットさせるため」と、四ヶ国歴訪を噓理屈で自画自賛する安倍

 今般の安倍晋三の四ヶ国歴訪は、分類すれば、限りなく「世界観光旅行」に括られる。現実にも安倍自身、各国首脳との親善のための海外渡航である事実がバレることに内心びくついている。そこで狡猾な安倍は、今般の四ヶ国歴訪が、次期米国大統領トランプをして南シナ海防衛(海洋安全保障)にコミットさせるためという、針小棒大な屁理屈を考案した。そして、出発前に、そう日本の各新聞テレビに流した。日本のジャーナリストは劣化甚だしいから、この操作情報を信じた者が何と多いことか。

 だがトランプは、“親中”オバマ/クリントンとは異なって“反中”であり、台湾を主権国家として扱う「二つの中国」論に立つ。性格が至って感情的で目を覆う粗暴さにはうんざりだが、トランプは、対ロシア外交を除けば、その国際感覚は凡庸な常識に従っている。だから、アメリカ・ファースト主義ではあるのに、海軍力増強論者だし南シナ海防衛論者。この点では、オバマ大統領より百倍は信頼できる。特に、トランプ米国大統領でハラハラしなくて済むのは、この南シナ海防衛である。「トランプ外交が心配だからトランプを導くためだ」と称した、安倍晋三の今般の四ヶ国歴訪を正当化する屁理屈は余りに見え透いた嘘で、安倍晋三のダーティな性格を浮かび上がらせている。

 そもそも米国をして、(親中の権化だったオバマによって弛緩した対中軍事態勢を抜本改善して)今まで以上に中共に対峙・対決させ、南シナ海防衛にコミットさせる最良で最確実な方法は、日本が率先垂範して、ベトナム/台湾/インドネシア/豪州/マレーシアの併せて六ヶ国が、それぞれの海軍力を倍増することである。カップリング効果と言う、それぞれの強力な軍事力が同盟国間/友邦国間の軍事的絆を強化する働きをすることを、日本人も知るべきだ。

第二節 第二次世界大戦の歴史の教訓に学ばない無学・無教養な安倍晋三

ヒトラー大侵略を誘引した、英首相チェンバレンの対ヒトラー非軍事外交主義を踏襲する安倍晋三

 今日の日本では、「外交」は非軍事的なものを指し、軍事的な「国防」とは截然と別けているので、ここでは、用語をそう使用する。軍事的膨張を決意している国家を抑止して、その侵略を阻止するのは軍事力だけである。外交は全くに無効だし、むしろ隣国からの侵略をより誘引・誘発する。

 だが、日本では、外交で侵略を阻止できる/日本の平和を維持できるとする非常識は、前述した「平和問題談話会」を皮切りに社会党の「非武装中立」などの大キャンペーンなどの基本部分をなしてきた。そのような戦後も既に七十年余が経つのに、いまだに日本の新聞テレビあるいは大学等学校教育で公然と垂れ流されている。

 漸く国民広くに理解され受容されたのは日米同盟だが、沖縄を見ればわかるように、それでも日米同盟つぶしの運動自体は朝日新聞やTBSその他によって執拗に堅持されている。沖縄の日米同盟つぶし/反・日米同盟に関して、安倍晋三は、翁長知事から飛んでくる矢や弾を避けて当らないようにちょこまか動くだけで、なぜかこれを潰そうとはしない。

 ともあれ、「いかなる外交であれ、外交では隣国からの侵略をいっさい抑止することができない」という国際政治の原理について、具体的な歴史事例を紹介しよう。英国首相チェンバレンが、ナチ・ドイツのヨーロッパ制覇の動きに対し、外交や話し合いで対処できるとの非現実妄想を抱いて対ヒトラー宥和外交に現を抜かしミュンヘン会談でチェコズデーテン地方の対独割譲を認める“完膚なきまでの詐欺”に騙されて、ついには第二次世界大戦勃発の共犯者になったことについては前回でも触れた。

 外交は、軍事的な領土拡大を目指す侵略国にはいっさい役に立たない。例えば、スターリンの命令だけが全てだった共産主義者近衛文麿が、東南アジアを日本の支配下に置くために、対英米戦争の事実上の開戦である南部仏印ベトナム南部)サイゴンに入城した(1941年7月)。これに対して、ルーズベルト米国大統領が、英国/蒋介石支那/オランダを誘って石油禁輸を含む対日経済制裁という外交でそれを阻止せんとしたが、近衛文麿は南部仏印から撤兵するどころか、逆に対英米戦争を御前会議で決定した(9月6日の御前会議)ルーズベルト大統領の外交による戦争抑止行動は、逆効果となり、日本をして本格的な戦争へと更なるエスカレーションへと誘導した。

 「石油禁輸を含む対日経済制裁」は、外交手段としては最高レベルに最強硬なものだが、効き目がないだけでなく、逆さの戦争誘発剤になったのである。外交には戦争抑止力など皆無である。ルーズベルト大統領が、もし、外交「石油禁輸を含む対日経済制裁」と同時に、「正式空母を七隻(備考)を新造する」と、新規の国防政策を宣言していたら、日本史上類例が他にないほどに“最凶暴な戦争狂の悪魔”近衛文麿ですら、対米戦争の開戦暴走にたじろいだろう。  

(備考) 日米太平洋戦争開戦時、日本の空母10隻に対して米国は太平洋に3隻。相撲でいえば横綱十両の大きな格差があった。米国が対日対等の海軍力を持つには、最低7隻の空母を米国が急ぎ新造することだった。

ヒトラーをして戦争を決断させた、マクドナルド首相の軍縮主義とチェンバレン首相の外交主義

 この事は、ヨーロッパでも当てはまる。ヒトラーの出現と同時に、天才チャーチルは、ドイツの爆撃機の大規模生産情況を国民に警告し、英国はこれに対抗して爆撃機と戦闘機の生産を倍増すべしと口酸っぱく下院で問うた。具体的には“軍縮首相”マクドナルド(首相在任1931年8月~35年6月)に噛み付いた。しかし、マクドナルドは、「ヒトラーは、そんな空軍力の大増強などしていません」と一笑に附して聞く耳をもたなかった(注5)

 軍縮首相マクドナルドはまた、対ナチ・ドイツへの抑止力の要である(当時ヨーロッパ随一の陸軍大国)フランスの陸軍力を目の敵にして、その軍縮を要求するという逆さ思考の持ち主だった。天才チャーチルは、「兵器には、良い兵器good weapons悪い兵器bad weaponsとがある」「フランスの陸軍力は、良い兵器だから、いくらあってもよい」と、フランス陸軍力をマクドナルドの攻撃から擁護した。

 マクドナルドを継いだボールドウィン首相もマクドナルドと五十歩百歩だった。その後を継いだチェンバレン(1937年5月~40年5月)は反・軍事国防主義の外交一辺倒だった。1933年3月からのチャーチルの炯眼的警告「英国の空軍力を対独パリティ(対等、parity)にする事がドイツの対独戦争を抑止する」は、1939年9月1日の第二次世界大戦の勃発において完全に証明された。だが、英国民がチャーチルの危機意識や警告こそが真理的真実だったと、猛省の中で臍をかんだ時はすでに遅すぎた。1940年7月には、ロンドンに対するヒトラー空爆は空前のものとなった。

 ヒトラー第二次世界大戦開戦を誘発した、平和愛好国の愚昧政策には、マクドナルドの軍縮狂、チェンバレンの外交一辺倒狂、の他もう一つある。フランスが同盟国に陸軍部隊を“前方展開forward deployment”することを忘却した事。

 フランスが平時六十五ヶ師団(有事総動員能力500万人)の陸軍力を有していたことは、欧州における「戦争抑止力=平和維持力」だから、実に称賛されるべき立派な国防政策だった。また、フランスが、ヨーロッパの平和のために、ポーランド/チェコスロバキア/ルーマニア/ユーゴスラビアの四ヶ国と同盟条約を締結していたことも、実に正しいこと。それこそは、対ドイツ包囲網を形成するからだ。なお、これら四条約の締結年は、それぞれ1921年2月、1925年、1926年6月、1927年1月である。

 フランスはしかし、自国防衛のマジノ・ラインや戦車生産には関心はあったが、これ等の国々に陸軍力をそれぞれ三ヶ師団/二ヶ師団/一ヶ師団/一ヶ師団を駐留させる経費を惜しんだ。これらの平時前方駐留なしには、陸軍力は飛行機ではないのだから、有事に戦場に駆け付けることはできない。現に、ヒトラーポーランドに侵略した1939年9月1日、フランスは直ぐにポーランド救援の陸軍部隊を独仏国境に非常呼集し、それらの対独侵攻の準備を整えた。対独侵攻がいつでも可能となったのは、9月17日。だが、ポーランドは、丁度この9月17日に滅んだ。尚、英国も陸軍師団を独仏国境に展開したが、それは9月30日で、ポーランド滅亡の二週間後であった。

 チャーチルは、フランスの陸軍力を対ナチ抑止力として必要不可欠として擁護したが、またフランスのポーランドなどとの同盟を偉大な賢策だと擁護したが、その「前方展開=同盟国内での駐留」を主張しなかった。陸軍士官学校騎兵科卒だが、チャーチルですら、そこまで頭が回らなかったようだ。

 第二次世界大戦後、沖縄の駐留米軍を見ればわかるように、米国は同盟国には必ず軍事力を前方展開する。これは戦間期のフランスの愚行を教訓として学んだ賢慮の知恵に基づく。日本には、「日米同盟は認めるが、有事駐留にして平時は基地だけで十分ではないか」とのもっともらしい提言がある。が、これは、ロシアと中共が日本に流す、それらの対日工作員の仕業で、日本を守る軍事力の武装解除のための対日甘言偽情報である。

ベトナムに日本の潜水艦部隊と爆撃機部隊の駐屯基地を建設して租借することを急げ!

 中共の空母は、「遼寧」だけで終わるのではない。これから陸続と就役する。尖閣諸島への侵略占領も、そう遠い先の話では無い。尖閣が日本領であり続けることは、その要塞化をしない安倍晋三によって、もはやあり得ない夢物語となった。マニラやハノイで示したような、黄色い嘴で饒舌にしゃべりまくる芸人流の気勢が、中共の大規模な尖閣侵略軍部隊を追い払うわけではない。また、日米同盟を守って米国が駆けつけてあげようとしても、中東に出払っている時であれば如何ともし難い。特に、ロシア軍が北海道と新潟に侵攻している時であれば、自衛隊尖閣などに構っていられない。  

 しかし、「愛国心」を票田集めに好都合な人気収集器と考え、“「愛国心」演技の一発芸人”安倍晋三には、現実に日本に迫る近未来の隣国からの軍事侵攻は全く見えない。その後に、日本民族に降りかかる民族絶滅など、昭惠夫人と同じ精神薄弱児並みの知力しかない安倍の脳は考えられない。安倍晋三にとって、日本という国が地球に存続してほしいのは、2020年の東京オリンピックまで。なぜなら、それを機に安倍晋三は政界から引退し、対ロ売国奴らしく、晩年を大好きなロシアのソチなどに隠居して暮らす予定である。  

 ちなみに、中共の国産空母建造は、二番艦がすでに進水直前で、今年2017年には進水する。だが、この事態に至ってなお、日本では「日本も空母を持とう」の声がない。2017年1月、空母「遼寧」は南シナ海西沙諸島の北方で、艦載機「殲-15」の厳しい着艦訓練に励んでいた。この情況に、日本人のうち、固唾をのんで日本の近未来を憂国した真正の愛国者は一人もいなかった。日本は、国家として、すでに死んでいる。日本国は、一億人の奇怪なゾンビが蠢く“死に体国家”になってしまっている。

表2;中共の空母建造は急ピッチ

f:id:nakagawayatsuhiro:20170119225147p:plain

 日本が今採るべきは、「国防第一(国防ファースト)」の国家への大転換である。安倍が騒ぐ、有害無益で馬鹿馬鹿しい「デフレ脱却ごっこ」など、今直ぐに粗大ごみとしてシベリアに捨ててしまうことだ。そして、スペインに軽空母「ファン・カルロス1世」級四隻を発注する事である。設計図面を買ってノックダウンで日本で建造するのもよい。また、二万人の海兵隊を創設することである。中古の原子力潜水艦「ロサンゼルス級」を最小限四隻購入する事である。

 この軽空母「ファン・カルロス1世」級の一番艦が納入された時点ですぐ、オーストラリアと空母の海軍共同演習を行い、その流れで日豪軍事同盟を締結することである。オーストラリアも、スペイン「ファン・カルロス1世級」の設計図面を買い、二隻就役させている。一番艦が「キャンベラ」、二番艦が「アデレード」で、それぞれ2014年11月、2015年12月に就役した。安倍晋三は2017年1月、豪州を訪問しながら、豪州の軽空母見学をしなかった。安倍の反・国防主義は底なし。  

 日本が同盟条約を締結するのは豪州だけではない。ベトナムとも、同盟ではないが、日本は日越防衛協力協定の締結を急がねばならない。それは日本の国産揚陸輸送艦おおすみ」二隻の借款建造が皮切りになろう。特に有事には先制破壊する必要がある、表1にリストした中共の滑走路について、原潜からのトマホーク巡航ミサイルなどが有効確実だから、日本は、この潜水艦用の母港(=海軍基地、例えばカムラン湾の提供をベトナムにお願いするほかない。  

 情勢は既に風雲急を告げている。日本国は国民挙げて、安倍晋三に、「国防第一」を国策の第一とせよと迫るほかない。安倍が「国防第一」を政治の前面に打ち出す時、“中国共産党系の非国民”翁長・沖縄県知事は失速的に失脚する。餌を数日食っていない餓死寸前のカマキリのような蓮舫は退陣を余儀なくされ、民進党は空中分解して消える。                   

(1月17日記)

 

関連エントリ

近づく中共の尖閣侵攻占領

 

1、『朝日新聞』12月28日付け二面の見出しの一つは、「トランプ氏への牽制」。

2、『朝日新聞』1月5日付け。

3、『福田恒存全集』第三巻、文藝春秋、60頁。

4、『朝日新聞』2016年12月19日付け。1~2面。

5、Churchill著『While England Slept』のチャーチル演説「The Need for Air Parity」(1934/3/8)や「The German Air Menace」(1934/11/28)などを参照されたい。

中川八洋掲示板は、amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。