中川八洋掲示板

世界の現状は、日本の国家安全保障の危機を加速しています。この急迫の時局において、刻々と変遷激しい国内外の事態を冷静に俯瞰できる力を与えてくれる、大容量の真正の知識こそ、いまの日本人に必要なものです。当ブログは、国際政治学者・中川八洋筑波大学名誉教授の個人ブログです。

北鮮「弾道ミサイル発射塔」先制破壊こそ日本国防の根本 ──核ミサイル飛来を台風と同一視する“痴呆”安倍晋三「万全の対応」

筑波大学名誉教授    中 川 八 洋  

 

 北朝鮮は、2月7日午前9時(現地時間)にフィリッピンの東海上沖に向けて「テポドン2改良型」弾道ミサイルを発射した。北朝鮮の核弾頭の開発状況と総合すれば、その対日用「ノドン弾道ミサイル」、グアムの米軍基地攻撃用「ムスダン弾道ミサイル」、首都ワシントンにも届く米本土攻撃用「テポドン2弾道ミサイル」(射程1万2千㎞)が、再突入技術などを改良して、核弾頭を搭載する日は、「早ければ、三年以内」とすら推定される。  

 ほんの一ヶ月前の1月6日午前9時半(現地時間)、「水爆実験」は嘘ではああったが、北朝鮮は「核弾頭用の原爆の小型化」の核実験をした。日本人の中で、2月7日のテレビ・新聞の「テポドン2改良型」発射についての派手派手しい報道を聞きながら、一ヶ月前の核実験を一緒に思い起こしたものは果たして何人いただろう。あるいは、「テポドン2」発射実験と核弾頭開発実験とを総合的に勘案して、日本に対する核脅威が急上昇している事実に戦慄した正常な日本人は果たして何人いただろう。

 一億日本人のうち、おそらく一人もいなかったと断定できる。日本人とは、ロシアや中共が日本を標的として大規模な対日核戦力を配備していることにすら無関心である。当然、北朝鮮の核弾道ミサイルが日本を標的する事態が秒読みとなったとしても憂うることをしない。日本国民は、麻薬中毒患者になったかのように、日本国家の存立にいっさいの関心も責任意識も持たなくなった。いや、自らの生命を守ることにすら関心がない。日本人の脳は、アヒルや豚と変わらない。

 特に、1990年代に入ってから極端になったが、日本国民の政治への関心と要望は、「福祉だ!」「保育園だ!」「介護だ!」と、滅ぶ直前の古代ローマ帝国の「パンとサーカス」の叫び声と同じ“超福祉国家”への話か、「地震」とか「津波」とか「火山の爆発」とかの自然災害の話だけ。現に、2月7日から9日までの三日間、この北朝鮮テポドン2改良型・弾道ミサイル」と霧島連山黄山の微火山活動についての、NHKの報道量総計を比較しても、日本人が豚並みの人間以下になったことは歴然、語るまでもあるまい。“世紀の腐敗民族”一億日本人には、「国家を守れ」とか「国防をもっとしっかりやれ」の声はなく、“国を守る”関心も知識も責任意識も、日本国から完全に消失した。

 日本は、すでに国家ではないのだ。日本人が、主権国家の民族として、生存や存立に剣を握る、正常な精神も健全な意識も喪失した。子孫に対して果たすべき祖国防衛の義務意識など、どこ吹く風と忘却した。日本人は、日本国民ではなく、日本列島に住む「ヒト」に堕した。

 実際にも、2月7日の日本の一日を、総理官邸、防衛省自衛隊、NHKや民放各局の報道を詳査すると、「自国への核弾道ミサイルがそう遠からずに飛来する」国防崩壊事態に全く無関心な、堕落と腐敗に興じる一億日本人のおぞましい現実が浮かび上がる。以下は、その一端の剔抉である。 

「危機管理」や「万全の対応」に“ふざけるな!”と怒らない、“豚の脳”になった日本人  

 「テポドン2改良型」が発射された翌日2月8日付けの朝日新聞は、まさに「国防を忘れて、堕落と腐敗に興じる“踊る阿呆”一億日本人のおぞましい現実」の端的な例で思わず嘆息した。その四面の大きな横見出しは、「試された危機管理」だったからだ。  

 自国に核兵器を投下する敵性国家の弾道ミサイル発射実験があれば、「完全に迎撃する」or「発射基地を先制破壊する」にはどんな兵器体系を整備するかの議論だけが通常の国家である。これが“国防 national defense”の常識である。それなのに、台風などの自然災害あるいは会社や家庭における突発事故対応能力の日常からの整備を指す“危機管理 crisis management”に置き換えている。日本に対北朝鮮の国防をさせないよう、朝日新聞が得意とする“言葉殺し logocide”である。

 朝日新聞は、日本の共産革命を奉じる「反日」新聞だからそうなんだ、との言訳は真赤な嘘。知的下層民向けの“低級”産経新聞も、朝日新聞と似たり寄ったりではないか。「対弾道ミサイル防御態勢を強化するだけでなく、北朝鮮のミサイル発射基地を破壊する兵器体系を整備せよ」との、正常な日本国/日本国民の新聞など一紙もなかった。

 その意味で、日本の新聞・テレビは一丸となって、「国防」問題を「危機管理」問題かにすり替え、日本人読者の頭に一瞬はよぎる“日本の国防は、大丈夫かな”を洗い流して忘却させる“洗脳の偽情報工作”に精を出したのである。

 さて、朝日新聞の四面の中身を読むと、安倍晋三を始め日本政府の動きが書いてある。この報道によれば、首相の安倍晋三も日本政府も、基本的には、北朝鮮弾道ミサイル対策を行う気などさらさらないことが明らかになる。安倍政権の対応は、主に次の三つ。

A 海上自衛隊のイージス駆逐艦三隻を東シナ海日本海配備

B 空自のパトリオットPAC3を宮古島/石垣島配備

C ミサイルの発射通過を全国に瞬時警報できる「Jアラート」で全国の市町村に送信。

 まず、BとCは、余りにふざけた“竹馬に乗ったナンセンス”。なぜなら、BとCは、弾道ミサイルを大きな打ち上げ花火に見立てた花火大会のお祭りごっこと同じ性格だからだ。対弾道ミサイルの対策とは全く関係しない。弾道ミサイルから日本国と日本国民の生命を守る国防に全く関心も責任もない、ただ国民に「頼れる総理」とのイメージを抱かせ、選挙目当ての人気づくりに利用した“安倍流お馬鹿ごっこ”。

 Bから説明する。敵飛翔体に対するパトリオットの迎撃能力は高度20㎞前後。既に高度1000㎞あたりを飛んでいる「テポドン2」の迎撃など出来ない。破壊できないのに、安倍晋三の「破壊措置命令」とは、国民に嘘を注入する危険なトンデモ語。国防は科学的に正しい言葉が使用されていない限り、正しい国防力にはならない。

 安倍晋三は、こう反論するだろう。飛翔の途中で爆発などして破片が飛んできたとき、その破片を打ち落とすのに使えるからだと。トンデモナイ! その破片は、弾道ミサイルの性能解明に欠かせない貴重な情報資料だから、回収して分析すべきもの。絶対に破壊してはいけない。

 次にCだが、皇居や東京を筆頭に、日本国のどこかに直撃し核爆発する北朝鮮中共の核弾道ミサイルについて、その実験機の宇宙空間飛翔情報を国民に時々刻々と知らせて何になる。「Jアラート」の本来の使い道が核シェルターへの避難を緊急勧告することであるのを忘却・誤解させる“国民への偽情報工作となっており、これほど有害で危険な使い道はない。着弾地点周辺の住民を核シェルターに10分間以内に避難させる訓練として「Jアラート」を活用しないのなら、「Jアラート」を使用してはならない。国民に核弾頭着弾と台風襲来とを同一視させる洗脳道具になるからだ。

 そもそも日本中のどこを捜しても核シェルターが全くつくられていない。天皇・皇后両陛下を守る核シェルターすら、皇居のどこにも建設されていない。ノドン・ミサイルの核攻撃に備えて、東京の一千万人を収容する核シェルターも造られていない。全国民の核避難を整備しているスイスやスウェーデンとは180度逆の、国防の全否定に立つ“無国防国家”日本の惨状と現実は、これでわかる。

 とすれば、核シェルターの整備もされていない現状で、台風や津波にしか使えない「Jアラート」を起動させた今般のような“安倍流お祭り騒ぎ”は、国民に「Jアラート」を対弾道ミサイルに何か有効かに錯覚させる逆効果はなはだしきものとなった。国民すべての核シェルターづくりや核攻撃下の避難訓練がなされるまで、「Jアラート」は有害毒物として扱い使用禁止するのが、国防のイロハである。

 さて、Aの、海自イージス艦が搭載するスタンダードミサイル3(SM3)は、打ち上げ初期段階であれば、迎撃能力がある。また、敵弾道ミサイルの性能諸元の情報獲得という機能もある。安倍が執った措置の中で、問題がなかったのは、これだけ。

SLAM空対地ミサイル搭載のF-35Aを、北朝鮮の東西海岸に威圧飛行させよう  

 今般の「テポドン2改良型」の発射基地は東シナ海に近い東倉里だったように、対日用のノドン・ミサイルや対米用のテポドン2ミサイルなど北朝鮮の弾道ミサイルの主たる発射基地は、日本海に面する舞水端里と、この東倉里である。日本にとって不幸中の幸いは、北朝鮮は地下サイロのミサイル射場をつくれず、地上の発射塔で点火するし、液体ロケットだからその燃料注入に数時間かかり、その他の作業もこれあり、有事においても発射半日前には、必ず発射塔にミサイルがセットアップされる。  

 日本としては、北朝鮮からの経空迎撃を回避すべく)かなり遠距離から航空機からの空対地ミサイルで、発射塔もろとも弾道ミサイルを先制破壊するのが兵法のイロハである。むろん、海自の水上艦艇や潜水艦からのミサイル攻撃でもよいが、任務終了後の戦場離脱に時間がかかり報復攻撃される危険度が増すので、航空機でできる作戦なら航空機で行うのが軍事作戦の王道だろう。

 東倉里や舞水端里の発射塔の破壊には、例えば、米国製のAGM-84K SLAM-ER空中発射型ハープーンなどが考えられるから、これを使えばよい。航空自衛隊は、次期空中戦闘機としてF-35Aを米国から買う予定だから、政府としては、現在の購入計画に加え、一ヶ飛行中隊squadron分の20機を追加発注し、これを対地攻撃機的なものに改造するのが一案である。

 例えば、上記の空中発射型ハープーンだと、おそらく胴体内兵器倉には装着できず、機外にぶら下げるしかない。当然、ステルス性は台無しになるが、北朝鮮を威圧するには、SLAMハープーンをぶら下げて見せた方が効果抜群だから、これでいい。しかも、SLAM型は250㎞遠方から射出できるので、航空自衛隊パイロットに決死の特攻をさせる必要がなく安全に帰還させられる。

 また、有事の破壊実行のためには、平時に同じ攻撃破壊訓練をしておくのが一番。AGM-84K SLAM-ER空中発射型ハープーンの二基が主翼化にぶら下がっている二機のF-35Aを、二機のF-35Aでエスコートさせて、東倉里や舞水端里に接近させる飛行訓練を平時にしておくことが、訓練と平時の威圧に不可欠である。

 このように、ノドン・ミサイルやテポドン・ミサイルを発射塔もろとも先制破壊する軍備態勢を完備することが、「万全の対応」というのである。2月7日に安倍晋三が「万全の対応をした」と自画自賛したが、人気至上主義の総理らしい、軍事や国防に白痴と化した日本人を愚弄した国民騙しであった。

(備考)SLAMとは、standoff land attack missile の略。

送金・人的往来の制限は制裁の入口、“本当に有効な制裁”軍事威圧を忘れるな!  

 しかも、安倍晋三は、拉致奪還のためには北朝鮮に対する制裁を強化すべきに、これまで逆さにも制裁を緩和する逆外交を行ってきた。今般慌てて、北朝鮮に対する制裁を正常に戻すことになった。が、このような制裁では生ぬるい。対北朝鮮制裁の要は二つ。  

 第一は、国会議員に関して三代に遡って父系の血統が北朝鮮人である者を強制公開させる法律を内閣提出法案で国会に上程することだ。菅直人/福島瑞穂/福山哲郎/山本太郎らにパニックを起こしてこそ制裁となる。むろん、これが法律として成立する必要はなく、威圧で充分。この法案上程はまた、拉致被害者送還に北朝鮮を大きく動かす副作用効果も抜群であることは、間違いない。

 また、三代ではなく二代に緩和した、ほぼ同じ趣旨内容で、東京大学工学部航空学科の学生・教官とJAXAの研究職に適用する法律案も併せて上程すれば、制裁の効果はぐんと上る。

 第二は、前述の空対地ハープーン搭載対地攻撃機の威圧飛行などを含めた、北朝鮮に対する軍事的な国防力の大強化である。詳述は別の機会に譲る。(2月9日記)

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