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中川八洋掲示板

世界の現状は、日本の国家安全保障の危機を加速しています。この急迫の時局において、刻々と変遷激しい国内外の事態を冷静に俯瞰できる力を与えてくれる、大容量の真正の知識こそ、いまの日本人に必要なものです。当ブログは、国際政治学者・中川八洋筑波大学名誉教授の個人ブログです。

戦時国際法も知らない“外交白痴”安倍晋三の醜態 ──「イスラム国」への敵対宣言をして、“人道援助”だって!?

筑波大学名誉教授   中 川 八 洋

 湯川遥菜氏と後藤健二氏の命と引き換えに「二億㌦の身代金」を要求された安倍晋三のあまりの慌て様には心底驚いた。なぜなら、安倍晋三は一月十七日のエジプト・カイロにおいて、宣戦布告とも取れる激しい“反イスラム国”演説をもって、この二億㌦の提供を世界に発信したのである。このときの安倍の言葉の一節は、「イスラム国がもたらす脅威を少しでも食い止める」である。

 戦争当事国の片方を「敵国と看做す」と宣言した以上、戦時国際法に従い、戦争当事国「イスラム国」は日本に対して戦争をする権利を有する。この戦争の方策として、日本列島に不法入国してテロ活動を行う方策もあれば、すでに拘束している日本人を盾に大金をせしめる方策も選択できる。少なくともイスラム国側は、上記の安倍のカイロ演説をもって「安倍首相は、“対イスラム国十字軍”への参加を志願した」と、黒覆面の男が画像で言っていたが、戦時国際法的には間違っていない。

 要は、安倍晋三とは、歌舞伎俳優になったかに錯覚しての格好良さの受けを狙った自分の過激なカイロ演説が、「イスラム国」からの報復として湯川/後藤の殺害取引を招くとは予想していなかった。このような外交上の劣悪なミスは、安倍が成蹊大学卒の滑舌芸人で極度な“外交白痴”ゆえに起きたのである。ともあれ、安倍晋三は、脳内空洞のアホバカ政治家である醜態を、世界に周知せしめた。国内ではバラマキ福祉とバラマキ公共事業、海外ではバラマキ経済支援しかできない“第二の田中角栄”の本性が、一気に世界の知るところとなった。

 なお、ここで、安倍はダメだから、ちゃんとした政治家を安倍に代えて首相にしなくてはいけない、などの無責任な話をしているのではない。日本においては、日本国を牽引できる最低水準をクリアする政治家がすでに一人もいない。四百名を超える自民党国会議員を例とすれば、約半分が利権屋だし、残りは選挙にあたふたと明け暮れる“その日暮し”お粗末一・二年生議員ばかり。

 “政治家不在”という、この日本国の病気は、国家末期の症状であるのは言うまでなかろう。

戦後の国連憲章に優先し“生きている”戦前の戦時国際法体系

 こう説明すると、日本人はすぐ、したり顔に、国連憲章は合法的な戦争の開始を自衛(defense)の軍事力の行使(use of forces)に限定しているとか、訳のわからぬ幼稚な反論をするものがいる。一般の人ならまだ眉を顰めて黙って見過ごすが、あろう事か、外務省の外交官の中にもこの程度のバカが、掃いて捨てるほどの数にのぼる。

 今日の戦時国際法体系は、現実には二重。上の段の箱には国際連合憲章。だが、国際連合憲章の胡散臭い非現実性は、戦争が勃発すれば必ず現実の世界で過半の国々が選択する「中立国」を不在としたり、「国連軍」が容易く編成されうるとの荒唐無稽な画餅が描かれていることで一目瞭然。

 だが、「イスラム国」問題で、国連は一度も国連軍を議論しなかったように、「国連軍」の条文(42条)など、国連憲章という現在の世界における最高位の国際法がいかに羊頭狗肉かを示す証左ではないか。

 つまり、下の段の箱につめられていて常日頃は外からは見えないが、一九四五年以前の世界を律してきた戦時国際法(中立法規を含む)こそ“生きた国際法”であり、現実の世界における国際法の実際上の支配者である。

 この戦時国際法によれば、世界すべての国家は、軍事紛争の勃発と同時に、「敵国」 「与国」「中立国」のいずれかに分類される。日本は、安倍のカイロ演説をもって、これまでの「中立国」の立場を捨て、「イスラム国の敵国」になった。

 敵国となった日本が、その“対イスラム国への敵対行動”に空爆等の軍事的な行動をしようとしまいと、この「敵国」としての戦時国際法の地位は、全く揺るぐことはない。「中身は避難民への人道援助だ」などの詭弁を弄するのは、日本の恥の上塗りを世界に曝すだけであり、言語道断の卑劣というほかない。

 こうなったら、安倍がとるべき道は、ひたすらまっしぐらに「イスラム国」を軍事的に叩き潰す同盟国に参加することであろう。空母を持たないから、日本は軍事能力的に空爆ができないが、空爆を行っている米国やフランスの空爆の後方支援をさせてもらうか、少なくとも観戦武官を派遣することから始めてはどうか。

 この機に、日本を世界の安定のために自国民の血を流す、高い倫理性を失わない道徳国家へと舵を切ることを決断すれば、安倍にとって今般の凶は、変じて吉となるだろう。                           

諜報機関が煙ほども存在しない“非・国家”日本国の醜態を曝した安倍晋三

 安倍晋三の醜態は、戦時国際法を知らず、中立国からの離脱演説を自覚できないアホバカ間抜けばかりだけではない。安倍晋三は、もう一つ、我国の欠陥国家ぶりを世界に大仰しい醜態をもって宣伝した。これほどひどいのはかつて例がなく、安倍晋三国賊とさえいえる。

 なぜなら、パレスチナアッバス議長に情報提供を懇請したり(20日)、22日には豪州のアボット首相/英国のキャメロン首相にまで情報提供の協力要請をしたからだ。「マンガチック」とは、このようなことを指すのだろう。

 まず、豪州は中東に諜報網を展開していない。お悔やみの電話をもって救世主かに錯覚するのは、安倍晋三は「溺れる者 藁をも掴む」の光景を世界に発して、日本を世界の笑い者にすべく愚弄したのである。

 英国は、アラビアのローレンが活躍した第一次世界大戦の直後に、中東にMI6の精緻な諜報網を敷いて百年を経た今日に至っている。だが、人の良いキャメロン首相が<少しぐらいの情報を日本に出してやれ>といっても、MI6長官が首を振ることはなかろう。

 MI6長官が「反日」だといっているのではない。どんな情報も外部に洩れれば、現地に潜入している、カムフラージュした英国諜報員の身に危険が及ぶ。国際法上の保護がある軍人と異なって、見つかれば拷問されたあげくに確実に殺害されるのが諜報員である。ロンドンで指揮を執る責任ある上司が、24時間最大限の神経を集中させているのは、これら現地潜入の部下諜報員の安全安否である。

 そもそも、日本がJCIA(=日本版CIA)をもち、アジア地区では最大限の諜報網を有しているなら、英国やフランスやイスラエルモサドの中東情報と交換ができる。また、同じ諜報機関同士であれば、友好国間では接触のルートが平時にできているから、今般のような事件が起きれば、JCIAの担当官が英仏あるいはイスラエルの諜報機関と直ちに接触し、相当な情報を入手している。

 しかし、成蹊大卒の軍事知見ゼロ外交知見ゼロ諜報知見ゼロの、馬鹿の見本のような安倍晋三は、自分を日本の有権者にさもビッグかに見せるためだけを目的に国家安全保障局(NSC)を内閣府につくって悦に耽ってきた。安倍版NSCとは、外務大臣がそれまで行ってきた、国民の目が集中する“邦人の安否問題”など緊急の外交案件についてのマスメディア対応の権限を、首相に移動させただけのもの。それによって、日本国全体が獲得する海外諜報情報がより高度に/より広範囲になるわけではない。専務の仕事で目立つところだけ社長が代行することにした会社が、それによって業績も何も変化をもたらさないが、これと同じである。

 まさに、今般の事件は、安倍版NSCのこの欺瞞が、安倍晋三の右往左往の醜態をもって、世界だけでなく、国民の目にもはっきりとばれてしまった。安倍晋三よ、対外諜報機関を持たない国家など国家ではないことぐらい理解したらどうだ。そして、急いで「対外諜報機関設置検討会議」を内閣府に設置して、日本国の首相として認識をもつ日本人の王道を歩んだらどうだ。自分の人気至上主義に日本国の外交や国防を利用するエゴ丸出し政治とはそろそろ別れるのが賢明だし、日本の国益にも適う。

 

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